これを知ったときの驚きと、虚無感のような脱力、今でも覚えています。今まで体は自分でコントロールできるものであり、楽器の練習はそのコントロールの精度をより上げていく訓練だと思っていました。けれど、自分で動かせない筋肉と、感覚がない筋肉があるなんて!
クラリネット宮前和美
「アンブシュアで悩んだときに、知っておきたい9つのこと。」
4、【自分で動かせない筋肉と、感覚がない筋肉があるなんて!】
『自分の体には、随意筋(自分で動かせる筋肉)と、不随意筋(自分で動かせない筋肉)と、
さらに、筋感覚がある筋肉と筋感覚がない筋肉がある。』
それを知ったときの驚きと、虚無感のような脱力、今でも覚えています。
今まで体は自分でコントロールできるものであり、楽器の練習はそのコントロールの精度をより上げていく訓練だと思っていました。
なのに、実は意識的に動かすことができない筋肉があり、さらに、今できている、今ここが働いているという感じがしない(=筋感覚がない状態)のにきちんと使うことができている、という場合があるなんて!
青天の霹靂でした。
でも考えてみれば確かに、心臓や消化機能などを止めることはできない。
喉元過ぎたら、熱かったり冷たかったりという感覚はなくなっている。
それと同じことが、動かせると思い込んでいる体の場所でも、実際は起こっていたのです。
たとえば、呼吸で助けになる、腹筋や横隔膜や骨盤底筋を使おうと思っても、手や足のように確実に自分の意思通りに動かせているという、敏感な感覚があるわけではありません。
同じく、アンブシュアを思ったように形作り、コントロールしようとしても、指先を動かすような繊細な動きのレベルで、顔の筋肉でコントロールすることはとても難しいのです。
小学生の時に遊んだ記憶がありますが、鼻を広げたり、舌をクローバーのように三つにしたり丸めたり、唇の形を四角や三角にしたり、唇の端を右上・左上・右下・左下とバラバラに動かしたり、耳を動かせる子がいたり、そんな遊びしませんでしたか?
顔の筋肉を操るのは、かなり難易度が高いのです。
『筋感覚が有るか無いか、自分のコントロール可か不可か。』
アンブシュアに対して、操ること自体できないところがあるのだと、諦めて手放す。
裏返すと、自分の体に対して、自分は司令塔であるけれど、筋肉の特性を知り、働いているはずだという信頼するスタンスでいると、煮詰まりすぎるのを防げると思います。(【5】でも別の角度から同じ考えの必要性を語ります。)
例えば、飛行機を安全に飛行させるために、管制センターでは操縦に必要な指示を出すけれど、現場でするような実際の操縦や整備は、操縦士や整備士に任せて信頼している、というような。
もしくは、企業の社長は、経営の統括をするけれど、営業や会計や人事など、全ての部署の業務管理をするのではなく、部署の社員が実際は働き、会社はまわっている、というような。
例えた方が分かりにくくなってますか?(笑)
(参考:◆アンブシュアで悩んだこと、今までありますか? /0011)
「アンブシュアで悩んだときに、知っておきたい9つのこと。」
1、【アンブシュアは、立体構造である。】
2、【アンブシュアは、誰でも同じなはずはない。】
3、【アンブシュアの強さと柔軟さ】
4、【自分で動かせない筋肉と、感覚がない筋肉がある。】
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