みなさん、ぶっちゃけ楽器やマウスピースって落としたことありますか?私は、中1でクラリネットを始めてから、マウスピースを落としたのは2回だけだったはずなのですが、先日人生3回目の落下事故を起こしてしまいました。マウスピースって知れば知るほど繊細です。そんなことを書き始めたら、あれもこれも!!と止まらなくなってしまいましたが、とにかく言いたいのは、大切にしようってことです。(反省……)
クラリネット奏者、アレクサンダー・テクニーク教師 宮前和美
マウスピースの扱い方に、こだわる。
今回のブログは「マウスピースにこだわる」といっても、数多くの種類について音の特色やリードとの相性やおススメ品を紹介するようなこだわりの方向ではありません。
マウスピースの扱い方、のこだわりです。
書くきっかけとなった衝撃的な出来事が、数日前にありました。
みなさん、ぶっちゃけ楽器やマウスピースって落としたことありますか?
私は中1で楽器を始めてから、マウスピースを落としたのは2回だけだったはずです。
記憶にある限り。
おそらく。
多分。
(正直、転がして落下未遂は何度か、あります。)
なのでしたが、ついに3回目を数日前にやってしまいました。
楽器を片付けているときに、マウスピースケース(東急ハンズで買った工具入れをケースにしてる)に入れたと思ったら、なぜかマウスピースが手から滑り落ちていました。
目で追いかけるも、スローモーションのように床にぶつかり、何度か跳ね、転がりゆく鈍い音。
カランカランカラン。
ぎゃーーー!!あああーーーーー。
派手に落とした割に、幸いにもこのときは無傷でしたが、実は幸いとは言えない状況だったことは後半にお伝えします。
ああ、ショック!!!!!
過去に遡り、みなさんも思い出せますか?
マウスピースを転がしたり落としたりした経験。
楽器を落とした、or、倒した方が、よっぽどヤバく、記憶も鮮明に残っていると思いますが、今日はマウスピースに焦点を当てていきます。
私が未遂ではなく本気で初めてマウスピースを落としたのは、高校1年のとき。
廊下で吹いていて、スワブを通すために窓のところにマウスピースを置い……
た。
と思ったらサッシから落下。
廊下の床とぶつかり、マウスピースは?!?!
あ?!
先端が……
割……れ……て、
るーー!!!!
ひいいい。
楽器は自分と相棒のようで、ベルなどでも楽器の一部が譜面台や椅子にでも当たったものなら、思わず「イタっ」と言ったり、そのあと「ごめん〜」「ヨシヨシ」というように撫でたりしてしまう、吹奏楽部あるあるの一員でしたが、その分身と思っていた楽器の一部が、自分のミスで割れた!
割っちゃった!!
壊れた!!
相当ショックでした。
中には楽器の扱い全般について無頓着な人がいますが、扱いや整備がズボラな人は、それなりの音しか出ないと思われます。
音への意識も薄いことが多い。
あるあるですね。
中高生、肝に命じよ。
でも、だからといって、楽器やリード一本一本にまで名前をつけて可愛がらなくてもいいけどね。
そうなるとまた方向がおかしいから(笑)
マウスピースって何でできている?
さて、マッピを落下させて割ってしまった高1の私でしたが、ともすれば割れちゃうものだということを知ってましたか?
そもそもマッピって何でできてると思いますか?
(マウスピースをマッピと略して言うと、音大某教授に怒られた懐かしい思い出が蘇ってきます。国立音大出身の方は誰のことだかすぐわかりますね(笑)。ちなみにフランスでは、マウスピースのことをベックと言います。)
金管楽器はマウスピース(略さず(笑))も金属ですが、クラリネットのマウスピースは楽器本体の色と似た黒い材質。
木でもプラスチックでもなく、エボナイトという硫黄と天然ゴムが混ざったものが一般的です。
この辺はクラリネットとサックス吹きなら、言わずもがなの常識かな。
エボナイトの性質に神経使ってよね。
ゴム成分を含んでいるので、実は柔らかいんです。
グニャグニャ曲がっちゃう、なんてことありませんが、固く見えてもちょっとした傷、劣化、変色はすぐに起こります。
このマウスピースは新品。
一つの傷もない、なんて美しいカットなんでしょ。
だけど楽器を急いで構えたときや、A管持ち替えをしたとき、距離感を間違え、くわえるときに歯をガツッっとマウスピースに当てたら最後。
少々かすった?!と思っても涙目になるくらい、マウスピースの先端はすぐ傷つきます。
傷がついてるなんて思えない?
拡大してよく見て!
このくらいなら大丈夫、じゃなーーーーい!!!んです。
なので金管の人が時々ポケットにマウスピースを忍ばせている、というのはクラリネットのマウスピース的には怖すぎ。
あり得ません。
ポケットの中でリードと接触する大切な部分が、きっと傷だらけになるはずだから。
もっと言うと、置くときに安定するからといっても、マウスピースのテーブル(カットして穴の空いている面)を下にして置きません。
リードと接触するところを下にして置いたとき、万が一傷がついたら嫌だから。
私はO型なので日常生活は大雑把なのですが、マウスピースの扱いは、血液型が変わってしまったかのように神経質。
って、中高生、聞いてる!?
こんなレベルで大切にするんだよ。
平気で机の上に立てたり、譜面台の上に置いたり、ケースの中にコロンと放ったり、リガチャーやキャップを雑に被せたり、ヒヤヒヤします。
今すぐ改めよ!
マウスピースの先端は、クラリネットの音を生み出す場所って知ってる?
マウスピースの先端って大切なんですよ。
リードとマウスピースが接触するそのわずかな一ミリくらいのところに、リードが1秒に何百回も当たって振動が起こっています。
代表的な傾向の違う5RVライヤー、B40という種類を写真で比べてみると、違いが一目瞭然ですね。
(ティップレール(マウスピースの先端の部分)の幅が細い方が、音の立ち上がりが早く明るい響きになり、逆に太いと柔らかい音が出るけれど音の立ち上がりは鈍くなるという特色があります。なので簡単に言うと、細い5RVライヤーの方が、音が出やすいので初心者向き。)
こんなにマウスピースの先端の幅が違う!
ここにリードが当たって振動していますが、5RVライヤーの方は、ただでさえ細い面なのに、これで歯を当てたら……
なのに、なのにですよ、5RVライヤーは初心者が使うことが多いマウスピースでもあるので、慣れていない楽器との距離感をはかり損ねて、何度も歯を当ててしまい、ただでさえ細いティップレールの面がなくなり、原型を留めてないことも、悲しいかなあるあるですね。
本当はほんの少し歯を当てただけと思っていても、厳密にいうとその機能は損なわれるものです。
中高生たち!
そんな風になったマウスピース、もしや使ってない?
歯を当てた責任は自分で取る!
お小遣い貯めて早く買いかえなさい!
です。
救済措置として、軽い傷ならライターで炙ると元に戻せます。
ササッと。
当てすぎたのは戻せないけど、ちょっとした傷なら裏技的に対処できます。
どうやるか知りたいですよね?今度YouTubeで動画上げようかな。
もう誰か上げてるかな。
マウスパッチはなんで必要か?
あと、マウスピースパッチを貼らずに吹いたとしたら、よっぽど歯並びのいい人を除いて、前歯が当たっているところは例外なくすぐ傷がつきます。
学校備品として吹奏楽部にある楽器ケースの中に入っているマウスピースは、特に長年使われ続けているので、歴代の先輩たちの前歯でマウスピースが削られて、歯型がくっきりで掘られている状態になってるなんてこと、B♭管だけでなく、バスクラリネットなんか特にあるあるです。
こんな感じで、傷だらけのマウスピース。
可哀想に(泣)
『道具にこだわる。【マウスパッチ編】』という記事では、マウスパッチに関して違う方向で語っていますがマウスピースの保護のために、マウスパッチを貼る必要がそもそもあるんですよ。
でも、マウスパッチを貼るのと貼らないのでは、音が違います。
もし貼らない方の音が好みというのであれば、傷がつく可能性があっても、貼らない選択をするのはアリだと思います。
ゴム製のものが楽器に接触しているということは、サムレスト(親指かけのゴム)がそうであるように、響きをそこで止めて吸収するってことになりますからね。
マウスパッチも同様。
でも私は歯並びが悪いので、貼っていないと歯の接点が不安定になり、コントロールにも影響するし、マウスピースの左側がかなり削られてしまうので、マウスパッチは貼る派です。
貼るか貼らないかは、何にこだわるかによります。
マウスピースにスワブ通す?通さない?
材質がそんな風に柔らかいという特性は、掃除するときにも要注意です。
楽器を片付けるとき、マウスピースも楽器本体と一緒にスワブを通している人がいますが、これは毎日布で中が擦れることによって、内径が変わってしまう。
少しづつなので大きな違いがあるわけではありませんが、新品のときの状態が数ヶ月後には違ってくる。
内径が変化するということは、響きや息の通り、吹奏感を変えてしまうということ。
僅かな1mm以下の世界に、音の違いがあると知ってこだわる人は絶対マウスピースにスワブは通しません。
最近マウスピース用スワブが発売されていますが、サイズが小さいだけで、柔らかい布ではないので私は使いません。
毎日スワブを通している人、音にこだわるのなら今すぐストップ!
多少の水分は拭き取りますが自然乾燥を基本にして、掃除をするときは綿棒や柔らかい布を使うこと!
目に見えない1mmの世界で、道具にこだわる。
マウスピースが無傷な状態だったのがいかに奇跡的かをわかってもらうための序奏が長引き、 話がどんどん広がってしまいましたが、今回のブログで一番公にしたかったことは、マウスピースの傷つきやすさという点ではありません。
実は、その先日落としてしまったマウスピースが、無傷だったのにお蔵入りになってしまったという点です。
激変していたんです。
はぁ?!と言うくらいに。
息が通らない。
音が抜けない。
リードの鳴りが全くもって悪い。
確か人も含めて物質は、原子の集合体なんですよね。(はるか昔高校の化学で理解したなんとなーくのニュアンスです。)
私のマウスピースは、落とした衝撃で、その原子レベルで組成がおかしくなったというか、個体のミクロ部分で密度が変わったというか、物質として歪みが生じたというか。
きっとマウスピース自体のバランスが、一気に悪くなってしまったんでしょうね。
目に見えた傷はもちろんアウト、目に見えなくても扱い一つで道具はアウトになる。
本当にこだわるとmm単位以下なんですよね、楽器の道具って。
そりゃそうか。
と思いつつ、でもその認識があるとないとで道具の扱い方が違ってくると思いますので、私のショックで残念なマウスピース落下事故とともにシェアします。
道具を大切にしましょうね!
特に自分がね!
という結論でした。
マウスピースに関しては、書いてみたらまだまだあるので、続編もあります。
次は、マウスピースの劣化について。
これも奥深い。
クラリネット奏者、アレクサンダー・テクニーク教師 宮前和美
【道具にこだわる。】シリーズ
色々投稿してます♪
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