◆「もっと、すぐ、上手くなりたい!」という焦りがある人へ。 /0050

「上手くなりたい」という思いと探求力は、上達の原動力になるけれど、ときにそれが焦りを生む逆効果になることがあります。スキルアップしたいと思う私は、少しづつを最大限積み重ねるということと、原動力のバランスをうまく取れていなかったのでした。そんな私に対して、少しづつ、でも確実に、あなたは成長しているんだというメッセージが隠れた、女優でアレクサンダー・テクニークの先生とのレッスン。なんて、なんて、素敵な諭し方だったんだろう!

クラリネット奏者・アレクサンダー・テクニーク教師、宮前和美


 

もっとスキルアップがしたい!

 

「もっと『教えること』のスキルアップをしたい!」

 

という私のレッスン中に、突然A4の白い紙が手渡されました。

 

今年の7月、女優でアレクサンダー・テクニークの教師である、キャシー・マデン先生が来日したときのレッスンでの一コマです。

グループレッスンなので、そこに居合わせた生徒たちにも、それぞれ同じように白い紙が配られました。

 

「手で、ちぎって、その紙に穴を開けてみましょう。」

 

それぞれ生徒たちは、思い思いの形に穴を空けていきました。

 

私が「ティーチング(教えることを学ぶこと)」について見て欲しいと言って、しばらくレッスンをしているのを見てもらっていたのに、急にキャシーは白い紙はあるかしら?と、唐突に言い出したのでした。

この全くその意図が読めないままに、レッスンは急展開をしていきました。

私にとって、こんな風に工作みたいなことをするのは久しぶりで、A4の紙に開いたいびつな丸い穴と、千切った紙の切れ端が、手元にあるのがちょっと新鮮でした。

 


 

先生が意図していることはなんだろう?

 

何でキャシーは、こんなことをさせるんだろう?

でも、今までにハッとするような角度から、たくさんのアドバイスをしてもらってきたので、きっと私のためになる何かを教えようとしているはずだという確信はありました。

 

手元に穴の空いた紙はあるわね?

その穴から教室を覗いてみて?

 

 

 

紙に空いた穴を通して、みんな思い思いに見ています。

スタジオにいる人や風景や、話しているキャシーの姿が見えました。

目的がわからないままそうするには、幼稚園とか小学校に戻ったような、思い切った童心さが私には必要でしたが、そんな私の気持ちに気づいていたのかいないのか、お構いなしにキャシーは確固たる意思を持って、言葉を続けました。

 

その穴から見えるものが、今のあなたの見えることの全てかもしれない。

でも、何かを学んだと思ったときや知識が増えたとき、その分だけ紙をちぎって穴を広げるの。

それからもう一度教室を覗いて?

すると、さっきまでと見える風景が変わったわね。

 

 

 

 

物事を学ぶときには、その穴を広げるようなことが起きているの。

あなたは、知識や技術得ることで、見える世界を自分で変えていくのよ。

 

だからこの授業を通して、何かを学んだとか、何かに気づいたとか、知識が増えたと自分が思ったとき、実際に手元の紙をちょっとづつ破って穴を広げてみましょう。

もし良かったら1日通して、そうしながら「学ぶ」ということを考えてみて?

 

 

そんな提案をされ、そのままレッスンが終了しました。

きっと周りの他の生徒にとっては、レッスンが急展開し、当初の目的であった「教えること」のレッスンは結論が明確にされないまま、急な収束を見せた終わりだったと思います。

 

でも、そのときの私は、すっかり腑に落ち、納得していました。

うわー、そうか。

キャシーの意図はそういうことか、と。

 

ここにいる誰よりこのレッスンが身に染みて、理解して、私は完全に白旗、降参していました。

私にとって、いま一番必要な考え方であり、私に役立つはずというキャシーのメッセージに溢れているのを感じました。

 


 

少しづつを積み重ねる。

 

アレクサンダー・テクニークを教えることに限らず、専門的なものを学び始めたときには、経験や技術を構築している未熟な段階が始めにあります。

それは、「白い紙に開けた穴」というキャシーが比喩していた表現でいうと、小さなフレームを通して、広々とした世界を見ようとしている段階です。

始めはどうしても小さくいびつな穴であり、どんな風に、どれくらい学んでいるかによって、大きさも形も違ってくるし、それによって見え方が違い、見え方が限られます。

 

 

でも、広い世界を見れるようになるためには、その穴を少しづつ広げていく作業が必要。

 

キャシーもかつてそうやって少しづつ穴を広げて来たからこそ、今は「一体全体、何が見えているの?!」と思わせるようなアレクサンダー・テクニークのレッスンを繰り広げているのです。

 

誰もが、その穴を少しづつ開けている最中だということ。

 

でも私は、年に一度しか来日することがないキャシーがいるうちに、教える技術をたくさん学びたいと思って、もっといいレッスンができるようにどうにかしたい、つまり、穴を最大限たくさん広げるにはどうしたらいいの?と心の底で焦りながら、キャシーにレッスンして相談していたのが見抜かれていたのでした。

 

 

 

何かを学ぶことは、少しづつの積み重ねである。

 

面白いことに、自分の近くに、次元の違うほどのアレクサンダー・テクニークの先生、演奏家、音楽家がいることで、自分のレベルがグッと引き上げられ、穴がいきなり大きく広がることもあります。

楽器と同じです。

まだまだヒヨっ子教師という不安さえ、ぶつかってもビクともしない先生が近くにいることで、ワクワクや安心感に変わる。

 

「学ぶ」という不思議さも同時に感じました。

 

 


 

なんて素敵な教え方!

 

 

物事に取り組むときに、「上手くなりたい」という思いと探求力は、上達の原動力になるけれど、ときにそれが焦りを生む逆効果になることがあります。

クラリネットを演奏する上ではわかっていたことですが、アレクサンダー・テクニーク教師としてレッスンスキルをよりアップしたいと思う私は、少しづつを最大限積み重ねるということと、原動力のバランスをうまく取れていなかったのでした。

 

別のキャシーのレッスンで、こうも言われました。

 

あなたは「教えること」をレッスンしてもらおうと行動を起こす、向上心や探求力がある。

それをすることで、既にあなたのアレクサンダー・テクニークの教師として教える技術のスキルアップが起こっているのよ。

 

と。

 

向上心や探求力がともなった行動があるだけでもスキルアップは起こるということ。

そして成長は、知識や技術を得ることで、少しづつ、でも確実にしていくものだ、というメッセージが充満していたアレクサンダー・テクニーク教師キャシー・マデンとのレッスン。

 

 

なんて、なんて、素敵な諭し方だったんだろう!

 

 

 


 

一番ベストの方法で学べるように仕向ける、という指導。

 

「物事を極める。」

という取り組み方がレッスンの肝でしたが、さらに上の次元では、

 

「先生として生徒(私)に教えたいことを、一番ベストの方法で学べるように仕向ける。」

というキャシーの手腕の凄さがありました。

 

直接的でないことで伝わらない可能性があったのに、「紙に穴をあける」という間接的な比喩のようなレッスンの仕方を選んでいたにも関わらず、むしろ結果として私にはズバッとキャシーの教えたいことが伝わってきました。

 

「生徒へ教えたいことを伝える」方法に、多種多彩なバリエーションがあり、その選択肢の中から、生徒を見ながらベストを選んでいるということ

 

まさに見事に鮮やかにその手腕を見せられたなと感じました。

指導については、世の中には色々なやり方があります。

 

手元にある穴の空いた白い紙。

 

とても斬新で印象的な方法でした。

だからこそ、上達することとは、指導とはどういうことなのか、私にとって心の深いところで忘れられない学びになったのだと思います。

 

 

クラリネット奏者・アレクサンダー・テクニーク教師

宮前和美

 


【アレクサンダー・テクニークセミナー渋谷】
〜え?こんなに楽に演奏できてイイの?〜開催します♪

 

◆日時:2018年2月25日(日)13:00〜16:00

◆場所:アクタス アンナホール(株式会社ノナカミュージックハウス6F )

◆住所:渋谷区道玄坂1-15-9
(渋谷駅より徒歩5分)

◆定員:10名(グループレッスン中、個人レッスン10分付き)

◆対象:管楽器、弦楽器、ピアノ、歌、指導者など、年齢問わずどなたでも参加可能です♪

◆受講料:
お一人10,000円
ペアチケット(二人分)18,000円
学生券5,000円
聴講3,000円

◆申し込み:下記ページより受付

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/012ujjzcqdi6.html

◆ご質問:kazumiyamae.cl@gmail.com

 

 


-セミナー詳細-

 

1.グループレッスン:3時間

アレクサンダーテクニークの基礎を実際に体験(60分程度)し、
カラダの正しい使い方、楽な使い方を三人一組で経験して頂きます。
カラダの仕組みや、動かし方を覚えよう!

更に!マスタークラス形式の個人レッスン(10分程度)も付いてきます!
自分自身はも勿論ですが、
他の奏者の「変化」も「感動」も一緒に学べる、
内容の「濃い」学びがある3時間です。

又、学生の方でグループレッスンにご参加を希望される方には、
半額で学生券をご用意いたしました。
上達したい学生さんを応援します!

 

2.グループレッスン聴講のみ

上記1.グループレッスンを3時間聴講(見るだけです)できるチケットです。

どんなレッスンか見てみたい!
アレクサンダーテクニークって何?
レッスン受けるのは、まだちょっと・・・
そんな方に、聴講チケットをご用意いたしました。

自分の楽器だけではなく、
色々な楽器のレッスンを聴講する事により、
ご自身の演奏には当然ですが、
吹奏楽部、ピアノ講師等ご指導されている方にも、
大いなる「学び」や「ヒント」があると思います。

 

3.特典

今回、数ページに渡る解剖学の資料を配布します。
目から鱗の演奏のヒントにつながる、解説とイラスト付きの資料です。
セミナー後も見直して練習に役立てられます♪

 

4.個人レッスンの受付

個人レッスンは随時受付ております。
より深く学びたい方、ひとりでゆっくり学びたい方、人前では恥ずかしい方にオススメです。
セミナー参加者は初回のみ5,000円→500円割引。
※交通費・スタジオ代は別途ご負担いただきます。
詳細はレッスンページをご確認ください。

 

 


-よくある質問-


1.レッスンに関して

Q、何か持ち物は必要ですか?
楽器、楽譜(特定の曲やフレーズを見て欲しい方)、メモ帳、筆記用具(必要な方)(譜面台はこちらでご用意します。)を是非ご持参下さい。

Q、マスタークラス形式って何?
個人レッスン希望者がひとりずつレッスンを受け、他の人はレッスンを聴講するかたちのレッスンです。
恥ずかしい!という方も大丈夫です。
セミナーにいらっしゃる方は、全員が音楽家で同じ悩みを共有する方ばかり。
皆で「悩み」「学び」を共有する。という本セミナーの醍醐味でもあります。
もちろんどうしても恥ずかしいから演奏したくない!という方は、聴講だけで参加するという方法もあります。

(本当は、人前で演奏したほうがずーっと大きな学びになりますが・・・)

Q、グループレッスン内の個人レッスンは、何分くらいやってもらえるのですか?
一人あたり10分前後となります。
時間は、若干前後する場合があります。個人レッスンは、10分程度を予定していて多少長くなったり、短くなったりします。(当日のセミナーの進行状況などにより)
その点は、どうかご了承ください。

Q、グループレッスンの見学は、出来ますか?
聴講チケットをご購入いただき、見学していただけます。
3時間3,000円(税込)となります。

 

2.会場について

会場:アクタス アンナ・ホール(株式会社ノナカミュージックハウス6F)
渋谷区道玄坂1–15–9
電話03–5458–1521
www.nonaka.com/nonakamh/selmer/index.html

立地のいい渋谷から徒歩5分、クラリネット、オーボエ、ファゴットの皆様にはお馴染みの楽器店、株式会社ノナカミュージックハウス6Fの、アンナホールをお借りできました。

 

3.セミナーの録画録音について

Q、レッスンを録画、撮影されたくないのですが・・・
レッスンの録画、写真撮影を希望されない場合は、その旨お伝え下さい。お客様の撮影は、一切行いませんのでご安心ください。

Q、セミナーを録音、録画をしても良いですか?
録音、録画はお断りしています。

 

4.料金、お支払いについて

Q、セミナーに行けなかった場合、料金は返金されますか?
お申し込み後のキャンセルは、お受けできません。お支払い後の料金についても返金は、行いませんのでご注意ください。

Q、Facebookのコメントや電話で申込出来ますか?
申し訳ありませんが、お申し込みはこちら(クリックしてください♪)よりお願い致します。お申込情報の管理上、Facebookコメント欄からのご連絡、メッセンジャー、メール、お電話でのお申し込みは、一切お受け出来ませんのでご了承くださいませ。

 

5.キャンセルについて

Q、チケットを他人に譲っても良いですか?
ご購入いただいたチケットは、ご本人のみお使いいただけます。ご了承ください。

Q、セミナー申し込み後のキャンセルは出来ますか?
如何なる理由をもってもお申し込み後のキャンセルは、お受け出来ません。レッスン料金および聴講チケットの返金などは、一切出来ませんのでご了承ください。

 

6.その他

上記を良くお読みいただき、ご理解された上でお申し込みをお願いいたします。ご不明点など有りましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 


【講師】

クラリネット奏者、アレクサンダー・テクニーク教師

宮前和美(みやまえかずみ)

【プロフィール】国立音楽大学音楽学部器楽学科クラリネット専攻卒業。クラリネットを武田忠善氏・生島繁氏ほかに師事。2013年秋よりアレクサンダー・テクニークをバジル・クリッツァー氏ほかに学び、各セミナーでアシスタントを務める。演奏活動のかたわら、2017年5月アレクサンダー・テクニーク教師正式資格取得。日本国内在住の数少ないクラリネット奏者のアレクサンダー・テクニーク教師となる。昨年4月に開催されたヤマハミュージック札幌店でのアレクサンダー・テクニークセミナーでは、数十名が参加し大好評。(2018年も4月21日、22日に開催予定。)

 

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