初めて一音出すそのときから。
どうやったらこのトリルが綺麗に均一にできるんだろう。
いま自分の腕はどんな風に動いているんだろう。
左手の薬指と小指は思い通りになるかな。
どうかな?
こうかな?
ああかな?
そうやって、奏法の研究、テクニックに注目して楽器を吹いていたら。
「その音を吹くことはどんな意味があるのかしら?」
「聴いてくれる人にどんなメッセージを伝える音にする?」
そう、女優でアレクサンダー・テクニーク教師のキャシーから言われて、ハッとした。
その瞬間色々なことが頭をめぐった。
キャシーがそんなことを言い出した理由。
私が出した音がどんな音だったのか。
私は普段どんな意図を持って楽器を吹いているのか。
レッスンを受講している私は、完全に周りの人との関係を忘れていたこと。
音楽的な意図があったら、奏法の研究をしていても、もっと違う音が出せることは絶対だった。
今吹いていた音を思い出すと、残念な気持ちと恥ずかしさがやってきた。
出す音すべてに意味があるように。
音楽の先生は、初めて楽器を吹く生徒に対しても、そういうものだと教えてほしいのよね。
キャシーは音楽家が多いそのクラスを見回しながら言った。
【初めて一音出すそのときから、音はメッセージを伝えるもの。】
Facebookページ【多くの音楽家が知らないでいる、演奏に役立つこと。】
に2018年4月9日に投稿した記事です。
クラリネット奏者、アレクサンダー・テクニーク教師
宮前和美
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