◆楽器の扱いにこだわる。【楽器の割れ編】 /0082

レッスンをしていて、その場所の過ごしやすさを気にするのは先生の役目の1つ。だけれど、室温については生徒さんにとっての快適具合だけ気にするわけではない。もう一つ、楽器にとっての室温も大切。の楽器がどこにいて、どんな気温の中に保管されていたかによって、レッスン室の適温が違う。クーラーが効く夏も気にしてほしいし、特に冬はもっと。
クラリネット奏者、アレクサンダー・テクニーク教師 宮前和美

昨日寝る直前に、面白いって閃いたものがあって、明日起きたらメモしてブログのネタにしようと思いながら寝たんだけど、起きてみたら、いいこと閃いたことだけ思い出して、肝心なことはキレイさっぱり忘れていた(笑)。
そういうことないですか。
夢とかリアルに覚えて起きれたはずなのに、30分後にはうろ覚えみたいな。私だけですか。
つかみで無駄な文字を消費してしまった。
今日の話に参ります。
今日は久しぶりに音楽教室のトップバッター。
鍵開けから、ディスプレイ起動などレッスン室の準備。
雰囲気が高校のときの朝練のよう。
学校の教室や廊下には全く人気がなく、シンと静まり返った空気の中で、今日の初めて響く音を自分の音で始める。
朝一番に部室を開けて、音出しを始めることを部長と競ってた若き頃。
部員がだんだん集まり、音が増えて、基礎合奏とミーティングの時間に近づく清々しい朝。
今日は誰もいない静かなレッスン室で音出しして、静かな気持ちで生徒さんを待ってるうち、気づいたらいつのまにか周りでもレッスンや音出しが始まっていて、秩序のない混沌と飽和した音の世界の幕開け。
オケのリハーサルなどが始まるときも似ている。
早めに会場に向かい、いくつかの音が聴こえてあの人の音って思えるほど、空間に隙間があったはずだけれど、いつのまにか広かったはずの箱の中は色々な楽器が鳴り始め、そのブレンド音でぎゅうぎゅうになって満たされる。
音楽の世界を経験したことがある人はそんな雰囲気わかってくれるはず。
って書いてまた話があらぬ方向へ脱線。
行きたい方向へはこのままだと自然に向かえないので、やむなく唐突ではありますが路線変更。
呆れず振り落とされずついて来て。
(これは好きなエッセイストの口調のまね。文字を書く熱継続中。)
今日の横浜は最高気温26℃予定の曇りの日。
こんな気温と湿度の日はまだいい。
まだいいの意味は、クーラーをつけるかつけないかの微妙なラインで、つけないでもいられること。
でも昨年の夏のように、連日35度越えの灼熱の外気になってくると大変。
レッスンに来てくれた生徒さんたちは汗だくで、しばらく汗が止まらないのでクーラーで冷風を感じられるように常に起動させてる。
ずっと屋外に出ていた人が涼しい〜っと言える温度って、例えば、デパートや電車内に入った瞬間の気持ちよさと一緒で、長時間そこにいたら大分冷える設定じゃないですか。
寒がりの私は、程度を越えない涼しめのレッスン室だったとしても、長時間いたら爪が紫色に血色が悪くなるほど冷えてしまうこともあった。
そんなときは屋外の灼熱、熱風が逆にホッとする温かさになる。
夏のレッスン室に厚手の上着は必須。
なのでこんな気温である7月が続くのは、私にとってまだいい日々なのだ。
ただし湿度に関してまた別問題。リードは湿度に結構影響される。
という話題を出してしまうと、もうそれこそキリがないのでここは深掘りしない。
という選択が今回できた。脱線回避。
よかった。って書いてる時点で文字の無駄か(笑)。
そうそう、一回の投稿のブログの文字数って、一般的には1000文字が目安なんだってね。
私は毎回軽々オーバーしてるけど、読み進めてくれる人は、サラッと情報を得ようと思っているというより、とても勉強熱心な人だと思われる。
いつもありがとうございます。
さて今日は何文字までいくか。最後にそれも書いておこう。
さてさて、、、脱線を何度も軌道修正して、ようやく今日本気でテーマにしたいことについて。
let’s go!
レッスンをしていて、その場所の過ごしやすさを気にするのは先生の役目の1つだと思う。
だけれど、室温については生徒さんにとっての快適具合だけ気にするわけではない。
もう一つ、楽器にとっての室温も大切なのである。
むしろ優先順位はそっちかもしれない。
その楽器がどこにいて、どんな気温の中に保管されていたかによって、レッスン室の適温が違う。
クーラーが効く夏も気にしてほしいし、特に冬はもっと。
発表します。
楽器の調整に悪影響だったり割れやすくなったりする状況ベスト5!
まず寒い冬、10℃以下の部屋に置いてありキンキンに冷えた楽器に、体温と同じ36℃の息を吹き込んですぐ練習し始める。
これはどっからどうみても楽器に対してのイジメ行為。
ドメスティックバイオレンス的なクラリネットハラスメント。
法令厳守をモットーとしたらクラリネット界で裁かれる事案!(笑)
業務停止命令の理由としては、管体内部は息を入れることで温まり、どんどん木が膨張していくけれど、表面はその膨張の速度に追いつけず、その結果耐えきれず楽器にはヒビが入って割れてしまうという結果が待っていることだから
証拠の写真を公の場に提出。
3、4cmは木目に沿って割れている。
このときは春がきて暖かい日々だったのに、三寒四温で一気に冬に逆もどりで真冬並みに気温が下がったその日に生徒さんに起こったこと。
息との温度差の影響をもろに受けるので、上管は特に割れやすい。
割れる瞬間は、音が聞こえることもあるらしいし、片付けようとしたら割れていることもあるし、次に組み立てたときに割れているのに気づくこともあるけど、このときは次の日に気づいたとのこと。
そして割れは一回で終わりじゃない。
吹き続けることで、どんどん割れが伸びてひどくなることもある。
別の場所が割れることもある。
癖になって何度も同じ場所が割れることもある。
(割れを見つけたらすぐさま吹くのをやめて、楽器屋さんへ駆け込むこと。リペアマンの技術によるけど、技術の高い人は割れがあったのかわからないくらい綺麗に治してくれる。)
なので凍える外気の中を移動をしてきて、いくら温かい部屋と言えども冬の寒さにさらされていた楽器の冷えがなくなるまでには時間がかかるので、真冬のレッスンではしばらく音出しを開始せず、楽器を温めるのを優先するときもあるくらい。
そんなとき手で温めるのはいいけれど、よく冬に見かけるマウスピースから息を入れて楽器を温めてる人、N、Gっっ!!!!!!
早く音程を上げたいんでしょうけど、割れるよ?
フルートとか、サックスとかがそれをやれるのは、奴らは金属でできているが故。
我々と違って金属は、息の暖かさ程度で膨張して割れることがないのだ!
そして逆に夏、あっつい場所で保管され、楽器を手で触っても、冷たく感じないような楽器の温度のとき
涼しいクーラーの風を浴びて気持ちよく快適な自分とは正反対で、実は冷風が当たってる楽器は勘弁してくれと言っているかもしれない。
クーラーで急激に冷やされ管体は縮んでいく。
楽器の外側が冷やされるのに対して、内部はまだ温かで、楽器を吹く息も温かいと、その温度差が楽器の調整にとって負担なのである。
もしくはとても湿度が低くてサラッと感じる快適な部屋(レッスン室とか音楽室とか)から、ちょっと外に出てムシムシした気温が高い場所へ一歩出たとき、ああ蒸し暑い〜と自分は思うだけだけど、サラッとした表面だったはずの楽器が、湿気を集めてベタベタしてきているのは、楽器にとってはこれも負担。
やばい!早くケースにしまってあげようと思う。
どうですか?そういう感じわかりますか。
あと今回の話題の中では別枠だけど、どんな季節にも関わらず、購入したての楽器は割れやすい。
購入一ヶ月くらいの間は、スワブを5〜10分おきに通して、1日15〜30分程度に練習時間をおさめて、楽器を慣らしていく必要がある。
万が一割れたのが新しい楽器なら、購入一ヶ月間はメーカー保証が必ずついて無償で修理をしてくれる。
むしろ新しい楽器が割れた場合、購入したてでショックは大きいけれど、その楽器にとっては自然で無理のない状態に近づいたから悪いことではないとも言われる。
楽器の割れやすい状況ベスト5!まとめ
①冬、楽器の吹き始め
②冬、楽器の温め方
③夏、クーラーの風の当たり方
④夏、湿度の変化が多い場所に移動するとき
⑤季節に関わらず、新品の楽器の購入後一ヶ月間程度
さて、上記のような状況で、クラリネットハラスメントしてません?
心当たりがあったと今思った人。
でもそういう扱いをしても気づかなかった人がいるのは、当事者のクラリネットが、冬でも半袖半ズボンでいれる男の子のように(今はあまり見ないか(笑))元気で丈夫だってこと。
劣悪な状況の中でも割れもせず、多少バランスがおかしくなっていても、滅多なことがない限り音が鳴らなくなってしまうということがないクラリネットという楽器から、被害届がでない。
まあ、調整のバランスが悪く、演奏に支障を感じないという状態をどこにおくかによるけれど。
一方ほぼ同じに構造に見えるのに、オーボエ(グラナディラの本体、管全体についている銀色のキー、リード、管体の分割など。)は、キーの数も操作の複雑さも、トーンホールとタンポ設計の繊細さも全然違う。
もしもクラリネット吹きが楽器に対して行なっている仕打ち(笑)をオーボエに行ったら、一気に調整が狂って、発音が上手くいかないとか、鳴りが悪いとか、そもそも当たらないという音が出てくると思う。
賠償金は5000円の調整代、割れの場合は3〜4万を支払うこと。
でもですよ、オーボエに比べてちょっと鈍感なクラリネットだって、扱い1つで調整も狂うし、割れてしまう楽器なので、これからの季節、気温の差を気にかけてほしい。
まだまだ梅雨の開ける気配のない7月の横浜より、クーラーをガンガンつけるようになるであろう日々に向けて、4148文字をかけて楽器の扱いについての語りでした。
クラリネット奏者、アレクサンダー・テクニーク教師 宮前和美
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