出したい音や、吹きたい音楽が頭の中にはっきり思い浮かんでいますか?アンブシュアに悩んでいても悩んでいなくてもソルフェージュは必要ですが、悩んでいるときほど、この答えが必要です。
クラリネット宮前和美
「アンブシュアで悩んだときに、知っておきたい9つのこと。」
8、【アンブシュア×ソルフェージュ】
アンブシュアに悩んでいても悩んでいなくてもソルフェージュは必要ですが、悩んでいるときほど、この答えが忘れられてしまいがちです。
出したい音や、吹きたい音楽が頭の中にはっきり思い浮かんでいますか?
ある程度の楽器経験がある人は、出したい音が鮮明に思い浮かんでいれば(=ソルフェージュしていれば)、アンブシュアはそれに伴って自動操縦的に変化します。
数世代前のサックスの先生の話を、誰かから伝え聞いて覚えていますが、とても示唆に富んだ話があります。
その先生が若かったころ、まだその頃レコードしか音源はなく、海外のプレーヤーが実際どんな演奏をするのか、映像では見たことがなく、教えてくれる先生も身近にいなかった、そのことが演奏にどんな影響があったのか、というのが興味深かったです。
レコードからは、素晴らしい音が聴こえてくるけれど、本場のプレーヤーがどんな楽器の構え方で、どんな口の形で、どんなフィンガリングで演奏しているかは、映像も写真ないので、全くわからない。
その素晴らしい音をどうやって出しているのかを、一生懸命想像し、リードの付け方も、くわえ方も、全て独学で毎日練習していたそうです。
頭の中ではその、レコードで聴いた理想の音だけははっきりと鳴っていて、どうやってその音やプレイができるのか研究の日々。
現代の情報量からすると信じられませんが、飽くなき精神で練習し続け、技術を得て、そのレコードのような音色に近づき本当に素晴らしかったと、人から評価をもらえるように。
ですが実際は、そのアンブシュアは、現代正しいと言われるものとは程遠い、めちゃくちゃな奏法だったと、初めてプロのプレーヤーの演奏を実際に見たときに、自分とは全然違うアンブシュアや、構え方をして、自分は間違っていると気づいたそうです。
それから、そのアンブシュアや奏法を見直して、形からやりなおしたら、レコードだけ聴いて出したい音だけに向かっていたときの音から、一時期遠ざかってしまった。
そんな話を聞きました。
アンブシュアがどんなにめちゃくちゃであっても、素晴らしい演奏はできるし、形にこだわる意味があるのかということを、この話は教えてくれます。
響きのある音が楽器から出ていて、コントロールしていて、本人が問題を感じず演奏しているなら、ソルフェージュの力が奏法を越え、正しいとか、綺麗な形は関係がなく、それがその人にとって、出したい音のためのベストのアンブシュアになっている場合があります。
演奏が素晴らしいなら、最終的にフォームは関係ないと知っていることは、悩んだときに意味があり、助けになりませんか。
それぞれの楽器の世界的名プレーヤーの中にも、一般的に言われてきた「正しい」とか「整っている」とは言い難いアンブシュアの人がいます。
吹きたい音を鮮明に頭の中に鳴らせる、ソルフェージュ能力が高ければ、アンブシュアも音もついてくる。
その力は、想像以上の助けになります。
「アンブシュアで悩んだときに、知っておきたい9つのこと。」
1、【アンブシュアは、立体構造である。】
2、【アンブシュアは、誰でも同じなはずはない。】
3、【アンブシュアの強さと柔軟さ】
4、【自分で動かせない筋肉と、感覚がない筋肉がある。】
5、【アウターマッスルが、でしゃばることがある。】
6、【アンブシュア×息】
7、【アンブシュア×耳】
8、【アンブシュア×ソルフェージュ】
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