◆心療内科の先生からみた、あがり症や緊張とは? /0037

あがり症について、心療内科の先生に相談したことがあります。「震えをなくそうと思ったら、もっと震えてくるんですよ。」とそのとき言われ、震えをなくしたい、緊張したくないと思っている私の思考を、完全に見抜かれたと思いました。そして、舞台の上ではタブーのような、思いつきもしない角度からのアドバイス。心療内科の先生からみた、あがり症や緊張とは?

クラリネット宮前和美


震えをなくしたい。緊張したくない。

 

私は緊張すると、指が震えてきます。

本番中、緊張からくる指の震えが怖くて、その震えやあがり症について心療内科の先生に相談したことがあります。

「緊張すると指が震えるんです。」と相談して、その先生にすぐこう言われました。

 

「震えをなくそうと思ったら、もっと震えてくるんですよ。」

 

そのとき、震えをなくしたい、緊張したくない、と思ってここに来た私の思考を、完全に見抜かれたと思いました。

もっともあがり症や緊張や震えに対して、「それをなくしたい」と相談をしに来る人が多いということらしいので、見抜かれたというより、相談してくる人に良くある考えを私が持っていたということなのですが、そのときは完全に見抜かれたと思いました。

 

震えないように吹きたい、あがり症でなく舞台に立ちたいと、緊張から逃げようとしたり、緊張をなくそうとすることが、逆に体をそうさせる。

アレクサンダー・テクニークで何度も出てくる「否定形は脳に通じない。」ということと同じ話でした。

「舞台で緊張しないようにしたい。」「指が震えないようにしたい。」と否定形を使って、私は逆に震えを増やすことになっている。

全く違うジャンルである医学の側面からも指摘され、本当に人の脳はそうやって働いてしまうのだと改めて思いました。

 

 


緊張しないためには?

 

でも、そのあと話してくれた内容は、楽器を吹いたり舞台に立ったりするときには、タブーのような、絶対言われもしない思いつきもしない言葉だったので、その瞬間頭の中を揺さぶられたようでした。

 

「緊張をしたくないなら、自分の能力でできる範囲のことだけを選んで、安全な生活をすればいいんですよ。」

 

え?!自分の能力で無理がなく、簡単なことだけ選ぶ?!

 

緊張を起こさないためには、チャレンジしなければいい。

 

演奏や舞台でチャレンジしないってこと?!

舞台で起こる緊張の局面に、向き合わなければいいって言ってるわけ?

どうやって緊張対策をすればいいのか相談したのに、それ自体をしなければいいって言うの?!

 

つまりそれは、

難しい譜面は吹かない。

自分の実力で、余裕で出来るようなことだけの本番をこなす。

失敗に寛容な環境や場所で吹く。

吹きたいと思う本番だけ選択して乗る。

舞台や人前で吹かない。

というようなことと同義だけど!

 


完全にありえない状況だけれど。

 

心の中で思わず反発していた私でしたが、

自分の能力でできる範囲のことだけを選んだ、安全な環境

と言われたその言葉をもう一度考えてみました。

確かに、完全にありえないこういう状況だけれど、もし仮にありえたら、緊張を避けられるのかもしれない。

こんなこと、考えようともしなかった。

ありえないことだけれど、よくよく考えてみたら、確かにそうだ!

緊張しそうであることなら、始めから選択しなければいいし、もしくは緊張して必死になっているときにはそれを投げ出し、やめれば、一緒につきまとう緊張ともさよならできる。

選択肢としては本来0ではないけれど、はなから除外していたので、その発想自体が私にとって新鮮で斬新なものでした。

 


音楽や演奏のレベルを下げる。

 

でもまたすぐ、問いかける自分が現れました。

そんなこと言ったって、舞台上でそれが許される?

仕事として引き受けている以上は無理に決まっている!

いやいや何より、演奏の放棄までしなくても、チャレンジするレベルを下げるなんてそれで私は満足なわけ?!

と。

コンマ何秒も経たないうちに、絶対無理だし、絶対嫌だと思う自分がいました。

 

こんな曲が吹きたい・こんなプレーヤーのように演奏したいと望むことは止められないし、毎回舞台が良いものになって欲しいと思っていれば、自分の能力の一番ベストで吹こうとする自分が出てきます。

音楽や、楽器をやっていたら、こうは思えない。

 


自分の限界ギリギリライン

 

そんな私を予想していたように、先生との話は、オリンピック金メダリスト、そして先日の世界選手権で史上初の4連覇を果たした羽生選手に移っていきました。

羽生選手のように、あれだけ完成度の高い素晴らしい演技ができる実力があっても、演技の前は手や足が震えるほどのプレッシャーがあり緊張する。

でもそれは、

「自分の能力の範囲でできることだけにとどまらず、挑戦をし続け、毎回試合のたび、自分の限界にギリギリラインで挑戦しているから、と言えますね。」

と。

 

テレビのドキュメンタリー番組の中のインタビューで、羽生選手が、『滑走直前までずっと音楽を聴いているわけ』を語っていたのを、同時に思い出しました。

 

「自分は弱い人間で、本番前にはプレッシャーに負けてしまうから、他をシャットアウトしないとダメなんだ。」「滑走直前までイヤホンで周りを遮断している。」

そんな風に、インタビューで答えているのを聞いたことがあります。

実際にイヤホンで対処をしているくらい、プレッシャーと戦っていることも、自分自身が弱い人間だという分析をしていることにも驚きましたが、そんなに神経質で敏感になるのは、羽生選手が毎回「羽生越え」に本気で挑戦しているからなのだと。

 


緊張のプロセス

 

実は私は、楽器が上手い人、芸に秀でている人、結果を出して活躍している人、そんな人たちが緊張すると言っていても、信じていませんでした。

 

でも!

緊張は、その人のパフォーマンスのレベルとは、本当に関係がない!

 

フィギュアスケートの世界で、羽生選手のようなパフォーマンスができても、世界が認めても、それでもなお緊張がつきまとうのは、自分の能力の限界のギリギリラインにいるということが、緊張のプロセス上、同じ仕組みだからなのです。

自分の新たなチャレンジをしていることが、動物の本能では、危険があるかもしれないことであり、できれば避けたいと思わせるネガティブなことでもある。

そのため、命に危険はないはずの舞台などで、緊張が生まれ、人によってそれが体の固さや震えとなるのです。

 

自分が成長をする環境や場所では、必ず緊張はするもので、緊張をなくそうという考えが誤りなんです。」

 

自分のできる限りでパフォーマンスしようとすれば、緊張は起こるものなのだと、その先生は言いました。

 


学んで手に入れようとしているものは?

 

私はとても勘違いしていました。

緊張をなくして演奏できる方法を、どうにかして探していたということです。

だから、楽器がもっと上手くなれば、緊張しないですむかもしれないという仮説の上に成り立った練習がありました。

でもいくら上達しても、緊張は手放せない。

 

根本的になくそうという考えが誤りで、緊張は起こって当たり前であり、むしろ自分が精一杯取り組んでいるというチャレンジの証でもあったのです

 

あがり症だからと、大きく緊張と一まとめにしてしまっているものも、毎回少しづつ違い、そのときの緊張と共に生み出していく意図が必要で、それによってそのとき、その瞬間、生み出される音楽と演奏があります。

毎回毎回その瞬間、緊張に向き合っていく。

緊張を、興奮するパフォーマンスに変えられるかどうかは、この向き合い方の違いなのです。

 


現実を受け入れているかが焦点。

 

下に書き出した項目に対して、「そうである」・「そうしている」と、本番中の自分はいくつ言えているでしょうか?

 

1、ベストを尽くそうとしているその自分がベストである。

2、緊張しているままの自分で演奏することに、本気でOKを出している。

3、震えている、怖がっている、緊張している自分の状態へのダメ出しをしていない

4、緊張している自分を、無くそう隠そうとしていない

5、どんな演奏をしたいかに向かって、瞬間瞬間の考えや行動を選択してる。

6、どう吹けばいいかという楽器奏法の自分のプランを持っている。

7、自分も相手と共に、相手も私と共に、この場所で演奏しようとし続けている。アレクサンダー・テクニークの先生キャシー・マデン先生からの学びより。

 

文章にするとこんなまどろっこしいことになってしまいますが、本当はシンプルで、現実の状況を受け入れきっているかどうかが焦点です。

私にとって、こうした問いに、迷いのない「する」・「YES」を繰り返し言える本番は、あがり症ではない自分で演奏できることが最近分かってきました。

 


緊張は興奮するパフォーマンス。

 

私は長い間あがり症に悩まされていますが、少しづつ変化して舞台で演奏できるようになってきています。

アレクサンダー・テクニークも、この心療内科の先生の話も、ブログを読んでレッスンに来てくれる人も、色々な人との関わりで起きる出会いや別れも、全部あって、私は少しづつ確実に進んでいます。

ときどき逆戻りしてしまったように思えるときもあるけれど、緊張は興奮するパフォーマンスと紙一重だということも実感できるようになってきました。

 

『緊張しているということは、いま自分が成長をする環境や場所にいるということ。』

自分が成長する局面にいる。

自分が大きく進むチャレンジの場所なんだと、自分が自分に教えてくれている。

もし今後演奏中に、緊張はネガティブなことだという意識が自分の中に湧いていると思ったら、こう変換していけるのだと思いました。

心療内科の先生の目から、あがり症がどう見えるのかを知り、緊張の違った面を見れました。

 

クラリネット宮前和美

 


~アレクサンダー・テクニークセミナーin渋谷~
え?こんなに楽に演奏できてイイの?

開催します!

 

◆日時:2018年2月25日(日)13:00〜16:00

◆場所:ノナカ アンナホール(株式会社ノナカミュージックハウス6F )

◆住所:渋谷区道玄坂1-15-9
(渋谷駅より徒歩5分)

◆定員:10名(グループレッスン中、個人レッスン10分付き)

◆対象:管楽器、弦楽器、ピアノ、歌、指導者など、年齢問わずどなたでも参加可能です♪

◆受講料:
お一人10,000円
ペアチケット(二人分)18,000円
学生券5,000円
聴講3,000円

◆申し込み:下記ページより受付

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/012ujjzcqdi6.html

◆ご質問:kazumiyamae.cl@gmail.com

 

 


-セミナー詳細-

 

1.グループレッスン:3時間

アレクサンダーテクニークの基礎を実際に体験(60分程度)し、
カラダの正しい使い方、楽な使い方を三人一組で経験して頂きます。
カラダの仕組みや、動かし方を覚えよう!

更に!マスタークラス形式の個人レッスン(10分程度)も付いてきます!
自分自身はも勿論ですが、
他の奏者の「変化」も「感動」も一緒に学べる、
内容の「濃い」学びがある3時間です。

又、学生の方でグループレッスンにご参加を希望される方には、
半額で学生券をご用意いたしました。
上達したい学生さんを応援します!

 

2.グループレッスン聴講のみ

上記1.グループレッスンを3時間聴講(見るだけです)できるチケットです。

どんなレッスンか見てみたい!
アレクサンダーテクニークって何?
レッスン受けるのは、まだちょっと・・・
そんな方に、聴講チケットをご用意いたしました。

自分の楽器だけではなく、
色々な楽器のレッスンを聴講する事により、
ご自身の演奏には当然ですが、
吹奏楽部、ピアノ講師等ご指導されている方にも、
大いなる「学び」や「ヒント」があると思います。

 

3.特典

今回、数ページにわたる、オリジナルの体の仕組みがわかる資料をプレゼント!
目から鱗の演奏のヒントにつながる、解説とイラスト付きの資料です。
セミナー後も見直して練習に役立てられます♪

 

4.個人レッスンの受付

個人レッスンは随時受付ております。
より深く学びたい方、ひとりでゆっくり学びたい方、人前では恥ずかしい方にオススメです。
セミナー参加者は初回のみ5,000円→500円割引。
※交通費・スタジオ代は別途ご負担いただきます。
詳細はレッスンページをご確認ください。

 

 


-よくある質問-


1.レッスンに関して

Q、何か持ち物は必要ですか?
楽器、楽譜(特定の曲やフレーズを見て欲しい方)、メモ帳、筆記用具(必要な方)(譜面台はこちらでご用意します。)を是非ご持参下さい。

Q、マスタークラス形式って何?
個人レッスン希望者がひとりずつレッスンを受け、他の人はレッスンを聴講するかたちのレッスンです。
恥ずかしい!という方も大丈夫です。
セミナーにいらっしゃる方は、全員が音楽家で同じ悩みを共有する方ばかり。
皆で「悩み」「学び」を共有する。という本セミナーの醍醐味でもあります。
もちろんどうしても恥ずかしいから演奏したくない!という方は、聴講だけで参加するという方法もあります。

(本当は、人前で演奏したほうがずーっと大きな学びになりますが・・・)

Q、グループレッスン内の個人レッスンは、何分くらいやってもらえるのですか?
一人あたり10分前後となります。
時間は、若干前後する場合があります。個人レッスンは、10分程度を予定していて多少長くなったり、短くなったりします。(当日のセミナーの進行状況などにより)
その点は、どうかご了承ください。

Q、グループレッスンの見学は、出来ますか?
聴講チケットをご購入いただき、見学していただけます。
3時間3,000円(税込)となります。

 

2.会場について

会場:ノナカ アンナ・ホール(株式会社ノナカミュージックハウス6F)
渋谷区道玄坂1–15–9
電話03–5458–1521
www.nonaka.com/nonakamh/selmer/index.html

立地のいい渋谷から徒歩5分、クラリネット、オーボエ、ファゴットの皆様にはお馴染みの楽器店、株式会社ノナカミュージックハウス6Fの、アンナホールをお借りできました。

 

3.セミナーの録画録音について

Q、レッスンを録画、撮影されたくないのですが・・・
レッスンの録画、写真撮影を希望されない場合は、その旨お伝え下さい。お客様の撮影は、一切行いませんのでご安心ください。

Q、セミナーを録音、録画をしても良いですか?
録音、録画はお断りしています。

 

4.料金、お支払いについて

Q、セミナーに行けなかった場合、料金は返金されますか?
お申し込み後のキャンセルは、お受けできません。お支払い後の料金についても返金は、行いませんのでご注意ください。

Q、Facebookのコメントや電話で申込出来ますか?
申し訳ありませんが、お申し込みはこちら(クリックしてください♪)よりお願い致します。お申込情報の管理上、Facebookコメント欄からのご連絡、メッセンジャー、メール、お電話でのお申し込みは、一切お受け出来ませんのでご了承くださいませ。

 

5.キャンセルについて

Q、チケットを他人に譲っても良いですか?
ご購入いただいたチケットは、ご本人のみお使いいただけます。ご了承ください。

Q、セミナー申し込み後のキャンセルは出来ますか?
如何なる理由をもってもお申し込み後のキャンセルは、お受け出来ません。レッスン料金および聴講チケットの返金などは、一切出来ませんのでご了承ください。

 

6.その他

上記を良くお読みいただき、ご理解された上でお申し込みをお願いいたします。ご不明点など有りましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

 


 


あがり症について

1、あがり症と共に舞台に立つ。(動画)

2、◆緊張しに行くんじゃない。「好きなことをしに行くだけだよ。」

3、◆どうやってアレクサンダー・テクニークで、あがり症を乗り越える?


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