もしもアンブシュアで悩んで、演奏で怖い思いをしている人がいるならば、過去の私のような思いをできるだけしませんように。「アンブシュアで悩んだときに、知っておきたい9つのこと。」です。
1、【アンブシュアは、立体構造である。】
2、【アンブシュアは、誰でも同じなはずはない。】
3、【アンブシュアの強さと柔軟さ】
4、【自分で動かせない筋肉と、感覚がない筋肉がある。】
5、【アウターマッスルが、でしゃばることがある。】
6、【アンブシュア×息】
7、【アンブシュア×耳】
8、【アンブシュア×ソルフェージュ】
9、【アンブシュア×アレクサンダー・テクニーク】
クラリネット宮前和美
アンブシュアで悩んだときに、知っておきたい9つのこと。
(抜粋しています。詳細はそれぞれの見出しをクリックすると表示されます。)
アンブシュアは、マウスピースに接触している部分の、唇周りだけ、正面から見た、平面だけのものだと思っていましたが、そうではありません!左右、上下、縦横斜め、浅いと深いところ、おでこやこめかみ、首や耳やあご、口の中など、広い場所まで連動し、頭の前面にある、球体の上にあります。自分の体は、分かっているようで、顔は見えない分、大きさも距離感も、実際とずれているところが多くあります。マウスピースやリードと、アンブシュアの関係性は、奥行がある、立体構造の中で、セッティングすると捉えた方が、ある一面や一部だけに固執せずにいられます。
凄い技術、素晴らしい音色を持っているプレーヤーの真似を、アンブシュアも含めてしたくなるのは当然だと思います。でも楽器の角度や加える深さやマウスピースに当たる歯の位置などは、骨格や歯並びで絶対に一人一人違うものです。視野を広げて世界中のクラリネットプレーヤーを見てみると、人それぞれ自分に合う色々なセッティングの工夫をしながら、構え方やくわえ方をしています。ですので、どこまで一般的な形やセッティングを自分に生かし、どこから個人の違いと思うのか、正しさではなく適切なところを探るという考えが、アンブシュア迷子の防止に必要な考えだと思います。
今思うと、抵抗と圧力を生み出す場所を間違え、必要なエネルギーが不足していたため、すぐ口がもたなくなり息漏れしバテてていたと思います。さらに音の跳躍や強弱や高低などで、絶えずアンブシュアは動きの中で微細にコントロールする必要があるのですが、全てを固定して動かないようにしていたら逆にコントロールの柔軟性を奪ってしまうことが悪影響にもなります。圧力のかけ方と息の出し方とその受け止め方の適切な場所を見つけ、実際に必要なの前歯と親指の圧力に対して、固定させ安定させる部分と、柔軟性や動きがある部分の棲み分けの理解が必要です。
自分の体には、随意筋(自分で動かせる筋肉)と、不随意筋(自分で動かせない筋肉)があり、さらに、筋感覚がある筋肉と筋感覚がない筋肉があると知ったときの驚きと、虚無感のような脱力、今でも覚えています。アンブシュアを完璧に形作ろうとしても、完全にはコントロール下におけない。諦め手放す、もしくは指令を出したら働いているはずだという信頼するスタンスでいると、煮詰まりすぎるのを防げると思います。
実際の体の中の筋肉は、何層にもなって、筋膜や靭帯で繋がり、影響し合っています。ですので特に、不随意筋や筋感覚がない特にインナーマッスルなどを、部分だけ働かせたいと考え、無理矢理そこだけ動かそうとしたり、感じようとしたりすると、他の筋肉(アウターマッスル)がさもそうしているような働きを手伝ってきてしまい、元々働くべき筋肉でない場所が使われてしまいます。そして、筋肉の動きには、二通りあり、脳から電気信号を送って神経を通って筋肉の収縮を起こすものと、神経と筋紡錘の間で電気信号が交わされ筋肉の収縮が起こるものがあります。
アンブシュアの形が、整っていたり、安定していたり、綺麗だったり、正しい位置にあるから振動が作り出されるのではなく、「息×アンブシュア」と共同して振動を作っていることが大大大前提にあります!アンブシュアのことを考えると、息のことが忘れられてませんか?、というより、息のことが忘れていますよね?と断言したいくらいです。管楽器は息があってこそ。発音体に振動が起こってこそです。調子を崩す原因は、アンブシュアというよりも、息の適切な使い方ができておらず調子が悪くなっているという方に、分配が上がっている可能性があります。
アンブシュアを鏡を見て、チェックしている時は、視覚だけ使って楽器を吹いていませんか?、というよりこれも、鏡を見ているときは自分の音を聴いていませんよね?と息と同じく、疑ってかかった方が有効だと思います。(過去の自分の経験より。)自分が出している音を聴き、音色や音楽の変化のために、今演奏している楽音に対して、音作りをしているからこそ、アンブシュアの変化や改善をしているはずです。その順序が逆にならないように。
ある程度の楽器経験がある人は、出したい音が鮮明に思い浮かんでいれば(=ソルフェージュしていれば)、アンブシュアはそれに伴って自動操縦的に変化します。出したい音や、吹きたい音楽が頭の中にはっきり思い浮かんでいますか?美しい音が楽器から出て、コントロールしながら、特に問題がなく、問題を本人も感じず演奏できていれば、アンブシュアがどんなに変であっても、教本の上で間違いである形であっても、ソルフェージュの力が奏法を越え、結果的にそれがその人にとって、出したい音のためのベストのアンブシュアと言っていいと思います。演奏が素晴らしいなら、最終的にフォームは関係ありません。
(参照: 楽器を吹くときに、アレクサンダー・テクニークで何をしているの? /0002)
アレクサンダー・テクニークのレッスンは楽器演奏に役立つものだと思って始めましたが、どうしてもこだわりたいアンブシュアやタンギングなど、その発音体がある場所の使い方など、そのポイントに改善提案が欲しいと焦点を当てて、アドバイスを求めていっても、知りたかったことと別の提案をされ、結果改善してしまうという、「問題が出ている場所に、根本原因はない。」というレッスンを何度も経験しました。体全体の使い方を変え、直接アプローチせずアンブシュアの問題を解決してしまう可能性があります。アンブシュアの細かい筋肉や骨格の話も、体全体へ目を向け、全体の一部としてアレクサンダー・テクニークを使いながら考えていたいと思います。
クラリネット宮前和美
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